医療現場の人手不足を解消しようと、岐阜県美濃加茂市の中部国際医療センターが、地元に住む外国ルーツの人材採用に力を入れている。住民の外国人比率が1割超と全国的にも高い「多文化共生の街」では、外国人の患者も多い。地域医療を担う病院として、外国ルーツの人材は欠かせない存在にもなっている。
「病院で働けるなんて考えたこともなかった」
昨年6月現在の在留外国人統計と県の推計人口を基に算出すると、美濃加茂市の人口に占める在留外国人の比率は10%超と県内トップ。
国籍別ではフィリピンとブラジルで8割を占める。
在留期間や就労分野などに制限がない永住者の比率も47%と高く、地域に定着している人も多い。
中部国際医療センターで看護補助者として働く日系ブラジル人のヤマベ・ビンダ・クニワキ・レチシアさん(35)は、9歳の時に来日。現在は市内に夫と娘2人の家族4人で暮らす。
昨年10月に採用され、試用期間を経て、4月に正職員になった。
入院患者のトイレ介助などの仕事を行い、夜勤にも入る。
「ブラジル人は工場で働くぐらいしか選択肢が無いと思っていた。今まで病院で働けるなんて考えたことも無かった。不安もあったけど、人助けが好きなので、働けてうれしい」と喜ぶ。
患者の安心に
同センターが、看護補助者の採用に動き出したきっかけは、新型コロナのワクチン接種だった。
コロナ禍で「外国人住民のワ…